家族の名において

友人の勧めで、中国ドラマ、「家族の名において」を観た。

血の繋がらない3人の兄弟(長男、次男、長女)と父親2人の5人家族が、寄り添い合って生きていく話し…というと、あまりに在り来りに聞こえるけれど、まさにその表現がピッタリの温かい物語だった。

長女役のタン・ソンユンは、奔放かつ自由でありながら1本筋が通っていて、正義感と優しさを兼ね備えている娘の役を確かな演技力でこなし、長男役の ソン・ウェイロンは、背の高さを含め、それだけで視聴者に満足してもらえそうなルックスを持ちながら、誤魔化すことない繊細な演技力で、葛藤を抱えながらも揺るがない恋心を貫く1人の男をしっかりと演じ、 チャン・シンチョンも、凛々しい表情に感情を隠し、受けた恩に報いようと必死に生きる次男の役を違和感を抱かせず、見事に演じている。

また、 子役の3人も、荒削りながら心に響く演技で、各々が与えられた役を自然に演じていて、彼らの出番が多い最初の何話かくらいまでは、毎回、思わず込み上げてくる感情が抑えきれず、泣いてしまうことが何度もあった。

そんな中でも、今回のドラマの核となるのは、 トゥー・ソンイエン演じる長女の父親の存在。

シャイで穏やかな人柄の中に、どんな人でも受け入れる器の大きさがあり、そのうえ、大切な人を守るために自分が傷つくことを厭わない強さと優しさを持つ父親の役を、演技と思えない自然体で演じている。

ごちゃごちゃ言うより、言いたいことは、ただ格好良いということ。味があって、渋くて、大人の男の色気がある。言い方は悪いかもしれないけれど、主人公でも若者でもないのに、いちばん魅力を放っていて、出てくる度に、ホッとしたり、ときめいたり、彼の出番が来るのが本当に楽しみだった。

同じドラマでも、観る年代や置かれている状況で見方は異なるし、面白い、面白くないは個人の主観なので、絶対に面白いから観て欲しいとは言わないけれど、私にとっては、いつしか無くした大事なものを思い出させてくれる、心に染みるドラマだった。

お勧めしてくれた友人に感謝したいと思う。