映画「シークレット・ミッション」の裏話

日韓交流イベントに参加した。

韓国映画監督のチャン・チョルス(장 철수)氏も参加されて、映画鑑賞とトークイベントがあった。同監督が撮ったシークレット・ミッションは、ゆるやかに始まり、だんだんスピードをあげていき、最後は足の代わりに心が震える、ジェットコースターのような映画だった。

この映画を撮ったきっかけは、主役であるキム・スヒョン側からオファーがあったことや、脇役として登場するチェ・ウシクは監督自身がキャスティングし、デビュー作だったのでとても緊張していたことなど話してくれた。また、冬の寒い中の撮影だったので、俳優さんたちが、暑いお湯に浸かりながら寒さを凌いだことなど、いろいろな裏話を聞けて面白かった。

トークイベントのなかで、どんな監督を目指しているかを問われたとき、彼が師事したキム・ギドク監督は、明るさの中に暗さを取り入れるタイプの監督だったけど、自分は暗い世界の中に一筋の光があるような作品を創る監督でありたいという内容の話しをされていた。(あくまでも私の受け取り方ということをご了承願いたい。)

シークレット・ミッションは、正に、その思いが現れている映画だったと思う。それぞれの国や人に立場があって、良い悪いは一概に言えない。自分にとっての正義が、相手にとっては逆で有り得る世界で、敢えて同じものを探すなら、誰かを大切に想う気持ちではないだろうか。安易には選択できない未来と、抗うことの出来ない状況のなかで、駄目だと分かっていながら知らずに芽生えた感情と、抑えようとしても勝手に動く気持ちに、必死に向き合う姿に、心を動かされ、気がついたら涙が溢れていた。

エンディングは各々が感じたままに捉えて欲しいとのことなので、是非この映画を観て、各々のエンディングを思い描いて欲しいと思う。