「青春18×2 君へと続く道」

懐かしさと新鮮さを併せ持つ映画だった。

見終わってから少しの間、頭の中から騒々しさが消えて、久々に、とてもクリアな状態だった気がする。最近は大概のことに受け身で、常に流れ込んでくる情報が頭にも心にも溢れていて、自分で考えるということが少なくなってるように思う。そんななか、久しぶりに雑念が消えて、自分を見つめ直したくなった。 映画を観るということは、本来受動的なことだけれど、心が能動的に動いた証拠ではないだろうか。

 独りで観にいったことで、すぐ隣りに全然知らない人が座っていることや、前方から聞こえる寝息のような音とか、近くでポップコーンをバリバリ食べたり飲み物を啜る音が気になって、最初は落ち着かない気持ちだった。でも、いつのまにか、そんなことが一切気にならないくらい映画に没頭していた。 少しの物音がしても気がつくような、とても静かな映画だったけれど、その静けさの中に、周りの雑音を消し去る力強さがあった。

主演の、ジミー役のシュー・グァンハン、アミ役の清原果耶、2人の演技もステキだった。

現在33歳のシュー・グァンハン。今回は、18歳と36歳を見事に演じ分けたと思う。18歳の役では、大人になる手前の初々しい青年を違和感なく演じ、36歳の役のときは、静かにオーラを放つ、大人の男を観せてくれた。

清原果耶も、明るい清々しさを纏いながら、決して軽くない演技で、彼女ならではの、アミという魅力溢れる女性を観せてくれた。

その他、アミが描く絵や、思い出の香りなど、様々なものたちが物語をより引き立たせ、独特の世界に連れて行ってくれた。こんな気持ちを味わわせてくれた、この映画に関わる全ての人に感謝したい。

終盤、堪えきれず溢れた涙に、心まで洗われてしまった。

藤井道人監督、恐るべし。。。